テレワークの備品は支給?貸与?
2021.02.09
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コロナ終息はまだ遠く、進むテレワーク導入
ワクチンが開発されたものの、新型コロナウイルスの終息にはまだ時が必要そうです。
現状に対応するべく、在宅勤務のためのテレワーク環境を整えている方もいらっしゃると思います。
ところで、在宅で仕事をするのに必要なパソコンや周辺機器、スマートフォン、机などの備品。
取扱い方によっては従業員に備品分の所得税が発生してしまうのをご存知でしょうか?
1.所得税が発生する備品の「支給」
どのような時に所得税が発生するのでしょうか。
それは備品を「支給」した場合です。
備品の「支給」は「現物給与」とみなされ、給料として取扱われてしまいます。
そのため、給料の一部として所得税が発生してしまうのです。
ですが会社の制服や作業服を受け取った時などに、所得税がかかったことはありませんよね?
所得税法上では「給与所得を有する者がその使用者から受ける金銭以外の物(経済的な利益を含む。)でその職務の性質上欠くことのできないものとして政令で定めるもの」は非課税所得と定められています(所得税法9①六、所令21)。
つまり、仕事に必要な備品であると政令で定められたものに関しては所得税はかからないのです。
2.なぜテレワーク備品の支給は課税されるのか
なぜ職務遂行の為に必要なテレワーク備品なのに、所得税がかかってしまうのでしょう?
前述の「職務の性質上欠くことのできないものとして政令で定めるもの」の部分がキモになっています。
実は政令で定められている備品は限られており、パソコンなどの電子機器や机などの家具は対象に含められていないのです。
その為、こういった在宅勤務に必要な備品を「支給」すると、コピー用紙などの少額な消耗品以外は、原則として現物給与扱いとなり、課税対象になってしまうのです。
3.所得税がかからない備品の取扱い方法
これでは在宅勤務する従業員の負担が高くなってしまいます。
冒頭の一文を思い出してください。
「取扱いによっては従業員に所得税が発生してしまう」
「支給」ではない備品として取扱えば所得税はかかりません。
そう。「貸与」です!
「貸与」の場合は、各種備品が会社の資産とみなされます。
現物給与ではなくなるのでもちろん所得税も課税されません。
更に会社の資産であるので、原則課税の事業者の場合は資産にかかる消費税が戻ってきますし、経費(減価償却)も発生します。
テレワーク用の備品の取扱いは従業員への「貸与」で決まりですね!
4.「貸与」する時の注意点
備品を「貸与」する場合は、以下の2点にご注意ください。
①「貸与」していることを明確にする
「支給」か「貸与」かはっきりしていないと、税務調査で指摘されるリスクがあります。
会社側で貸与備品の台帳を作成して管理するなどして、従業員に「貸与」している備品を明確にしておく必要があります。
②従業員が立替購入する場合は実費精算する
会社で備品を購入すると従業員の自宅への配送が手間になる為、従業員が各自で購入するケースがあると思います。
従業員が購入費を立替えて購入し、後ほど実費精算する場合は問題ありません。
しかし、在宅勤務の環境整備資金として会社が一定額を支給し、その後精算をしない渡し切りの支給の場合は「貸与」ではなく「支給」扱いとなってしまいます。
従業員が立替え購入する時は実費精算を忘れないようにしましょう。
今回はテレワークの備品についてのお話しでした。
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